フッ化物と有機フッ素化合物の違いとは？② | 練馬区石神井公園のスヴァラ歯科Blog

フッ化物と有機フッ素化合物の違いとその特徴については、前回のブログでご紹介しましたが、今回はその中でもPFASと呼ばれる有機フッ素化合物の一群について、さらに詳しく見ていきたいと思います。

PFASとは、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称で、炭素原子とフッ素原子が結合した構造を持つ化合物です。PFASは、水や油をはじき、熱に強く、薬品にも強いという特徴を持ち、多くの製品に使用されてきました。例えば、焦げつかないフライパンや撥水加工の衣類、泡消火剤や半導体用反射防止剤などです¹。

PFASは、地下水や河川、海などの水環境だけでなく、大気や土壌などにも広く残留しており²、北極圏や深海などにも検出されています³。また、人体においても血液や肝臓などに蓄積されることが知られており⁴、飲料水や食品から摂取することが可能です。

PFASの中でも特に問題視されているのが、PFOS（ペルフルオロオクタンスルホン酸）とPFOA（ペルフルオロオクタン酸）です。これらは過去に最も多く使用されてきたPFASであり、人体や環境への影響が最も懸念されています。動物実験では、肝臓の機能や仔動物の体重減少などに影響を及ぼすことが指摘されており、人においてはコレステロール値の上昇や発がんなどのリスクを高める可能性が報告されています。

これらの有害性を防ぐためには、PFOSやPFOAの環境への排出を抑制することが必要です。国際的には、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約（POPs条約）に基づき、PFOSは2009年から、PFOAは2019年から廃絶等の対象とすることが決められました。日本でもこの条約を締結し、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」（化審法）に基づき製造や輸入等を原則禁止しています。

しかし、過去に使用されたPFOSやPFOAはまだ環境中に残留しており、水道水や地下水などの水質に影響を与える可能性があります。そのため、厚生労働省と環境省は、PFOSとPFOAの合算値で50ナノグラム/リットル以下とする暫定目標値を定めており、水道事業者や自治体はこの目標値を超えないように管理しています。また、最新の科学的知見に基づき、暫定目標値の取り扱いについても専門家による検討を進めています。

PFOSやPFOAは、私たちの生活に密接に関わる物質ですが、その一方で人体や環境に対するリスクも抱えています。そのため、私たちはこれらの物質の存在状況や影響について正しく理解し、適切な対策を講じる必要があります。

当院のブログをご覧の皆様にも、PFASに関する情報を参考にしていただき、健康と環境に配慮した生活を送っていただければ幸いです。